「金利を見れば投資はうまくいく」○○ショックを事前に知るために!

書籍

今回はファンドマネージャー堀井正孝氏が書いた金利に関する本「運用キャリア25年超のファンドマネージャが 教える金利を見れば投資はうまくいく」を読んでの要約と所感を書いていきます!

金利は「炭鉱のカナリア」である

「炭鉱のカナリア」とは昔、山の中を掘るときにガスを当てるまえにカナリアがキーキー鳴るので、危険の予兆を教えてくれます。

”投資にとって、金利が警報の役割をしてくれる”というのが、25年投資の世界に身をおいた著者の主張です。

リーマンショックの前にも、ITバブルの前も、今回のコロナショックの前も予兆として金利が先に動いております。

ということで、金利の種類についてみていきます。

金利は全部で3種類

  • 短期金利・・・政策金利、FFR(Federal Funds Rate)
  • 長期金利・・・10年国債利回り
  • 社債・・・企業が発行するもの

※主要マーケットであるアメリカを中心に記載しております。

「短期金利」は米国中央銀行FRDが決める金利のことで、この金利をもとに中央銀行から民間の銀行に融資をします。
われわれ庶民が借りるお金は民間の銀行から借りるため、この短期金利がいわゆる基準となります。

FRDはこの短期金利を大きくしたり、小さくすることで市中に出回るお金の流通量を調整します。
金利を下げれば、人々がお金を借りやすくなり出回るお金が増えます。
一方で、金利を上げればお金が借りづらくなり出回るお金が減ります。

2021年3月現在、短期金利は0.25%と低いです。

「長期金利」の代表は10年債利回りです。債券価格によって、利回り決まります。債券価格は先ほど「短期金利」と市場の需給によって決まります。

債券って難しいようですが、役割は簡単です。人にお金を貸した時の借用書です。お金を貸したら、単利で金利分の利子を毎年もらえます。

10年債であれば、毎年利子分もらえて10年後貸したお金が返ってくるといった仕組みです。
2021年現在「長期金利」は約1.5~1.8%ほどです。

最後が「社債」です。先ほど紹介した債券が国が発行したものに対して、社債は企業が発行したものになります。その企業がつぶれてしまった場合は元本が返ってきません。

そのため国際にくらべてリスクの高いものになりますが、その分金利が上乗せされます。

短期、中期、長期のサイクル

日本には季節があるように、景気にも四季のようなサイクルがあります。一番大きな10年サイクルを記載します。

今は、利下げをし金融緩和の状態です。これから景気回復局面へと入っていくので、株式は右肩上がりに伸びていくと思います。

この後景気回復局面をへて、借入拡大による信用の悪化がおきます。
これは、景気がよくなるとどんどん投資しようと思い、みんなが銀行に借りに行きます。借金をするということはレバレッジがかかります。

この借金の額が膨らみ続けるといずれ破裂します。それがリーマンショックとなって出てきたわけです。リーマンショックは本来借りられずはずのない方が家を担保に、こぞって低金利で住宅ローンを借りたことが原因です。

10年サイクルは別名「信用サイクル」と呼ばれます。2000年 ITショック、2009年 リーマンショック、2020年 コロナショックなど10年おきに景気後退が発生してます。


ではどのようにして、景気後退が来る前に予兆を確認すればいいのでしょうか。

景気後退前はここを確認する

10年に1度の危機を避けることができれば、投資の成績は大幅にアップします。ではどのように10年に一度の危機を見分ければよいのでしょうか。

それは社債スプレッドです。

社債スプレッド=社債利回りー国債利回り


社債スプレッドは社債利回りと国債利回りの差のことです。景気が悪いと社債スプレッドは大きくなります。

景気後退局面では銀行の貸し渋りにより企業が資金を調達しづらくなります。結果として社債利回りをあげて無理やりお金を集め始めます。
リーマンショック前もコロナショック前もスプレッドは上がっておりました。

https://www.nomura-am.co.jp/market/weekly/weekly_high_yield.pdf

所感

米国株を勉強しはじめて、10年国債利回りが重要だと学びました。それはリスクフリーレートの基準となり、株式がリスクをとった商品のため10年国債利回りと確実に比較されるものだからです。

国債=無リスクの金利

株式=リスクのある金利



そして、今回新たに社債利回りの重要さがわかりました。社債なんて、企業が発行しているだけのものと思っていたのですが、信用サイクルを見極めるうえで重要な指標であったなんて、、、

2020年のコロナショックに関しては、3/23のコロナショックの前にFRDが短期金利を0.75%の利下げを急に発表したんですね。その際に10年国債利回りも急に下がり、社債スプレッドが急上昇した可能性もあります。いずれにしても社債スプレッドを確認しておきたいです。

10年後に起こるであろう○○ショックを避ける上で、この本は定期的に読み返したいと思いました。

また、社債スプレッドをより先に見極める指標も本には書いてありました。Kindle Unlimitedで読めるのでおすすめです。

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